KDDIは大規模障害を起こしても賠償を払う気がない。docomo大規模障害から学ぶこと
通信大手KDDIで2日未明に起きた通信障害は、発生から40時間近くたつ3日夕方になっても完全には復旧しなかった。結局復旧をしたのは7月5日の15時頃となり3日以上の通信障害だったと思われる。今回はこの大規模障害における賠償責任の有無が話題になっているのだ。
実はわかっていないau大規模障害の理由
メンテナンスの一環として、KDDIネットワークのモバイルコア・ネットワークへと中継するコアルーターのうち1つを、旧製品から新製品へ切り替え作業をしていたという。その過程で、音声通話を担当する「VoLTE交換機」で警告。作業の過程でルーターに「なんらかの」不具合が発生し、音声トラフィックの一部が不通になった。その後処置として接続制限をかけていくが、接続制限をかけた結果更にトラフィックが増える。事故渋滞が起きるようなもので渋滞は渋滞を生んでしまったようなものだと考えればいい。
auの約款から見る賠償の有無
au（5G）通信サービス契約約款
- 当社は、au（5G）通信サービスを提供すべき場合において、当社の責めに帰すべき理由によりその提供をしなかったとき（その原因が協定事業者の責めに帰すべき理由による接続専用回線の障害であるときを含みます。)は、そのau（5G）通信サービスが全く利用できない状態（その契約に係る電気通信設備によるすべての通信に著しい支障が生じ、全く利用できない状態と同程度の状態となる場合を含みます。以下この条において同じとします。)にあることを当社が認知した時刻から起算して、24時間以上その状態が連続したときに限り、その契約者の損害を賠償します。
- 前項の場合において、当社は、au（5G）通信サービスが全く利用できない状態にあることを当社が認知した時刻以後のその状態が連続した時間（24時間の倍数である部分に限ります。)について、24時間ごとに日数を計算し、その日数に対応するそのau（5G）通信サービスに係る次の料金の合計額を発生した損害とみなし、その額に限って賠償します。
賠償はあり得るのか
結論から言うなら「たぶん無い」が答えだろう。そもそも前回のdocomoの大規模障害や、Softbankの大規模障害でも賠償をすることがなかった。1人に1000円なんて支払ったのであれば、auサービスの利用者は多いために多大な損害が出る。だからと言って一律ではない支払いをするなら叩かれることは必至。なら初めから払わないを決めたほうが良いと考えるだろう（政治的な部分を除く）
“繋がりにくい” 状況と説明する理由
docomoの大規模障害時の言い訳は「復旧まで29時間かかったが、完全につながらなかったのは2.5時間である」とし、24時間の継続的な通信障害はなかったとした。今回auショップ（auスタイル）に来店した人たちはショップスタッフに「繋がりにくい状況」と説明されたという。同様にKDDI高橋社長も「繋がりにくい状況」な事を話し、あくまでも継続的な切断は無いとしたいのではないかと考えられる。
docomo大規模障害の賠償
ドコモの昨年１０月の通信障害は復旧まで約２９時間かかり、少なくとも延べ１２９０万人に影響が出たが、完全に不通になった時間は限られたとして、個人向けの損害賠償は見送られた。
SoftBank大規模障害の賠償
ソフトバンクも１８年１２月に音声通話とデータ通信が使えなくなった。復旧までの時間は約４時間半で、約３０６０万回線に影響が出たが補償は行われていない。
利用者を見て賠償は無い。
政治的にどうなるかが焦点。
今回、猛暑の中であり、節電の話や、選挙目前にこのような大規模な障害を起こしたKDDIだが、政治的には結構まずい気がしてならない。確かに約款に守られていたり、過去のdocomoやsoftbankの大規模障害の凡例があるとはいえ、障害を起こしたのは事実。またこの数年でインターネットの利用がさらに身近になり、過去と対比できないようなインターネットの大切さと通信事業主への責任が浮き彫りになったのではないだろうか。KDDIに限らず、利用者を見て賠償を考えることは絶対にないのが企業というものだが、政府や官公庁を見てどのような決断になるのか気になる部分だ。
10年近くモバイル業界で働いていたが、職業を「牛丼屋」と偽り活動をしている。某大手企業や、某キャリア使い放題サービスの担当者より「なか卯さんという存在」を内部資料として使われ、所属店舗はメッカのように崇められる不思議な経歴を持つ。元々はWindowsPhoneの写真をSNSなどに投稿して旅をしていた。初めて使ったスマホはW-ZERO3。